サンドブラストでガラスや鏡に彫刻(エッチング)を施す技法のひとつとして平彫りがあります。エッチングガラスやエッチングミラーを作る際に用いられる技法です。文字や黒塗りのイラストなどを彫刻するのに適しています。
以下に平彫りのサンプルとして、ガラス製のフォトスタンドに名前やメッセージを彫刻する作業をご紹介いたします。
平彫り用の図案です。中央にメッセージ、名前、日付けを入れ、その周りに飾り柄をレイアウトしてあります。実際にガラスに彫刻する部位は、図案中の文字や飾り柄の黒い部分です。
フォトスタンドにはめ込むガラス板です。このガラス板に平彫りを施します。
ガラス板は薄すぎると彫刻を施した際、穴が開いたり割れてしまうので、1mm以上の厚さが必要です。(サイズの大きなものは、強度を確保するために3mm以上が望ましいです)
紫外線により硬化する樹脂シートです。このシートに彫刻用図案を転写して、平彫り用のマスキングシートを作ります。
気温によって反応性が変わるため、紫外線を当てる時間で硬化の度合いを調節します。しっかりと硬化していないと、次の工程でシートが溶けてしまうので注意が必要です。(気温が低いときは反応性が落ちるので、紫外線を当てる時間を長くします。)
樹脂シートと図案を重ねて紫外線をあると、図案の黒い部分(文字や飾り柄)が紫外線をカットして硬化していない部分がでます。弱アルカリ性の水溶液で溶かして洗い流すことによって、下の写真のような文字や飾り柄の部分が抜けたマスキングシートが出来上がります。
4.で作作ったマスキングシートを、水溶性の接着剤を用いてガラス板に貼り付けます。この時、指でしっかりとマスキングシートをガラス板に圧着して、サンドブラスト加工時で簡単に剥がれないようにします。
さらに、マスキングシートで覆われていない部分をガムテープなどでマスキングします。マスキングシートの文字や飾り柄部分のガラスだけが露出している状態です。
サンドブラスト用の研磨材として使用する金剛砂です。彫刻する細かさや面積によって金剛砂の粒度を変えます。
使用しているうちに粒が軽く(細かく)なり、作業効率が悪くなるので、その場合は金剛砂を補充します。
サンドブラスト加工で使う縦1.5m×横1mぐらいの箱状のキャビネットです。前面の扉には、作業時に内部を見るための小窓と、扉を閉めたまま内部に手を入れて作業するための手袋が付いていて、密閉された装置となっています。
このキャビネットの中でサンドブラスト加工を行います。下の部分には金剛砂がたまっていて、それをエアーの圧力で吸い上げブラストガンから吐出してサンドブラスト加工を行います。加工中は金剛砂や削られたガラス粉がキャビネット内を舞うため、それらを吸い取るために、集じん機につながるホースが付いています。
サンドブラストガンです。本体は金属製で、セラミック製の先端ノズルのすぐ横に金剛砂を供給するホースと、グリップの下にエアーを供給するホースがそれぞれつながっています。先端ノズルからエアーと一緒に金剛砂を吐出してガラスを削ります。
ノズルは使用しているうちに穴の直径が大きくなり削りにくくなるので、その場合はノズルを取り換えます。
サンドブラスト装置のキャビネット内で、サンドブラストガンを用いてマスキング済みのガラス板に金剛砂を直角にぶつけます。
吐出するエアーの圧力、金剛砂を当てている時間や回数で彫刻する深さを調節します。均一な深さを彫刻するコツは、小さな円をゆっくりと描くように砂をぶつけます。
白い部分が削られた部分です。0.5mmほど掘り込んであります。
削り残した部分がないか確認した後、仕上げに進みます。
マスキングシートをはがして水洗します。
ガラス表面についている細かな砂で傷がつく場合があるため、水洗はやわらかいスポンジでやさしくなでる様に行います。
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