ステンドグラス製写真立ての製作手順をご紹介いたします。
写真立ての大きさや構成するピースの形を、紙にデザインします。説明用として、周りを小さな正方形で囲んだ写真立てをデザインしました。
ピースの形が細長いものや鋭角を持つものは、ステンドグラスの切り出しが難しいため、ピースがそのような形にならないように注意してデザインします。
デザインできたら、それぞれのピースに番号と使うステンドグラスの種類(色)も書き込みます。
1で作ったデザイン画は、後の工程で型紙として切り離してしまうため、デザイン画のすべてのラインをトレーシングペーパーに写します。それぞれのピース番号と使うステンドグラスの種類(色)も写します。
デザイン画を写し取ったトレーシングペーパーは、写真立てを組み立てる際にステンドグラスを配置するための設計図として使用します。
トレーシングペーパーの端に、写真立ての寸法やデザインした日付なども書いておくと便利です。
2枚の刃を、平行に1mm間隔で取り付けられるデザインナイフです。デザイン画を型紙として切り離すために使用します。
パターンナイフを使って、1で作ったデザイン画を型紙として切り離します。パターンナイフは刃が1mm間隔で2枚平行に取り付けてあるので、写真のように1mm幅の帯と、その両サイドに切り離しができます。2枚の刃先が均一の紙に当たっていないと、片側しか切り離しができていない状態になるので、しっかりと刃先が紙に当たるように注意してパターンナイフを動かして切ります。
型紙を1mm開けて切り離す理由は、ガラスとガラスの間に入るコパーホイルの厚みや、ガラス切り出し時の誤差を考えてです。
切り離した型紙と、デザイン画を写したトレーシングペーパーです。切り残している線がないかを確認します。
デザイン時に番号を付けてあるので、型紙として切り離した後も、どの部位かわかるようになっています。
写真立ての製作に使うステンドグラスを用意します。
型紙をステンドグラスに当てて、切り出すガラスピースの幅に、フェルトペンなどで印を付けます。
ガラスは紙や布と違って、切り離した後につなぎ合わせる事ができないので、できるだけ切りくずのロスが出ないように切り出しします。
ステンドグラスの印をつけた所に、切り出し用のラインを引きます。
ステンドガラスを切り出すのに使用するオイルカッターです。柄の部分にはミシン油が入っていて、先端のローラー部分に油を供給する仕組みとなっています。
オイルカッターの先端には金属のローラーが付いています。このローラーを金属に押し当ててステンドグラス表面に傷を付けます。
切り出し用のライン上に、オイルカッター先端のローラーが当たるように、裏面に滑り止めの付いた定規の位置調整をします。位置を合わせた後、定規に沿って手前から奥にオイルカッターをガラスに押し付けるようにして、切り出し用のラインに傷を付けます。その際、チリチリと高音がするように押し付けながらオイルカッターを動かすと、しっかりとガラスに傷が付いています。まったく音が鳴らないときは、ガラスにオイルカッターを押し付ける力が足りないので、ガラスに傷が付いていません。
オイルカッターで傷をつけたラインを真ん中にして、両手でステンドグラスを持ちます。
引っ張るように少し力を加えると、簡単に割れます。
切り出したら必ずガラス同士で切断面のエッジをこすり合わせます。切り出したままのガラスの切断面は鋭利で危険なので、こすり合わせて鋭利さをなくすことによって、手を傷つけずに済みます。「切り出す」と表現していますが、実際はオイルカッターでガラス表面につけた傷に沿って割って切断しています。
切り出したステンドグラスピースを、2で作ったトレーシングペーパーの上に置いて、色の間違いや、寸法に違いがないかを確認します。
片面に粘着剤が付けてある、銅の薄箔です。ステンドグラスピース同士を組み付けるために、ピースの切り出し面に貼り付けます。切り出したガラスピースの厚みより2〜3mmほど幅の広いコパーホイルを用意します。
コパーホイルの粘着剤が付けてある面です。粘着剤が付けてある面が黒くしてあるものを使用します。この粘着剤が付けてある方を、ガラスピースの切り出し面に貼りつけます。
切り出したガラスピースの周りに、コパーホイルを貼り付けます。最初にガラスピースの1辺に対してコパーホイルを貼り付けます。ガラスピースの厚みより2〜3mmぐらい太い幅のコパーホイルを貼り付けるので、ガラスピースの切断面に対して、上下に1mmぐらい余分ができるように、位置を合わせて貼り付けます(ガラスの厚みの真ん中にコパーホイルが付くようにします)。
コパーホイルは薄くもろいため、一度貼り付けると剥がすときにやぶれたり、よれて使えなくなってしまうので、位置合わせは慎重に行います。
ガラスピース切断面に対してのコパーホイルの余分を、指で挟み込むように折り返して、しっかりと圧着します。
次の辺も同様にして、コパーホイルを貼り付けていきます。コパーホイルを貼り付け終えたら、はさみで切断します。
ガラスピースの3辺にコパーホイルが巻きつけられたところです。1辺だけコパーホイルを貼り付けずに残してあるのは、はんだ付けで他のガラスピースと組み付けた後に、写真立ての外周として、まとめて貼り付けるためです。
ガラスピースとコパーホイルの密着度を上げるために、へらなどを使ってコパーホイルの上を軽くなぞり圧着します。圧着に使うへらは、金属などの固いものだとガラスピースが割れたり、コパーホイルがやぶれたりするので、木やプラスチックなどの比較的やわらかいもので圧着します。
全てのガラスピースにコパーホイルを貼り付けた後、デザイン画に書いた配置に合わせてガラスピースを並べます。コパーホイルを貼り付けてある辺に、間違いがないかを確認します。
次に、ガラスピースを木枠で囲み、はんだ付けの準備をします。木枠で囲むことにより、正確な寸法出しができるのと、はんだ付け時にガラスピースが動いてしまうのを防ぐためです。
木枠内に配置したガラスピース全体が、デザイン通りの外寸になっているかを、定規で測り調整します。寸法の調整は、ガラスピース同士の間隔で行います。
はんだを付ける部位のコパーホイルに、液体状のフラックスを筆で塗布します。フラックスはコパーホイルの酸化膜や汚れを科学的に除去して、はんだを流れやすくしてくれます。一度にコパーホイル全体に塗布せず、はんだを付ける直前に塗布します。フラックスを一度に多量に塗布すると、はんだを付け時にはんだが飛び散るので、付けすぎに注意します。
この作業からは、保護メガネとやけど防止用に軍手をはめて作業すると安全です。
はんだごてを使って、フラックスを塗布したコパーホイルの上に、溶けたはんだの滴を垂らして仮止めします。はんだごての先がちょっとでもガラスピースに当たると、寸法を合わせた配置からずれてしまうため、必ず最初にすべてのガラスピース同士の仮止めを行います。
全てのガラスピースを、はんだで仮止めした状態です。これでガラスピースが動かなくなったので、作業しやすいように周りの木枠を外します。
仮止めしたことにより、ガラスピースがずれることはなくなりましたが、強度はないので、全体がよれてコパーホイルがやぶれないように慎重に扱います。
コパーホイルが巻きつけてある部分を、はんだでつなぎ合わせます。棒状のはんだに、はんだごての先を当て、溶けたはんだをしばらく間、押さえたら持ち上げ、また押えるというように繰り返して、はんだを付けていきます。
はんだごてを押さえつけている時間が長すぎると、はんだが溶けすぎてガラスピースの間を通って反対側に落ちてしまいます。
写真立て片面のはんだ付けが完了したところです。
写真立ての反対面も同様に、はんだを付けます。
表裏のはんだ付けが完了したら、外周部にコパーホイルを巻きつけます。コパーホイルが外周部をひとまわりしたら、巻始めと巻き終わりが1cmほど重なるようにして切り、巻きつけます。
コパーホイルを貼り付けた後、へらを使ってしっかりとガラスピースに圧着します。
写真立ての外周部に、フラックスを塗った後、はんだを付けます。
裏側に写真を貼り付ける金具をつけて、ステンドグラスの写真立ての完成です。
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